命、燃ゆ

幕末。武家である畠山家の次女、あこは森家へ嫁ぐ事に決まっていた。しかし、婚礼の儀も迫って来たある日、畠山家の御庭番である蘭丸があこを連れて城を抜け出してしまう。御庭番の蘭丸が姫であるあこを斬り殺そうとしたなどという良からぬ噂もまことしやかに流れる中、蘭丸はあこを無事に森家へ送り届けると決意しての事だった。蘭丸は、前日に家老の板倉や番頭の服部より、あこ姫暗殺の命令を受けたからである。


姫が幼いころから身の回りの世話をしていた蘭丸だが、上司の命令には逆らえない。もし自分がせずとも、他の誰かに暗殺されるであろうことは容易に想像できた。ならばせめて自らの手で……と姫の寝静まった頃を見計らい、刃を振り上げるが……たものの、ついぞ姫を手にかけることはできなかったのだ。

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